強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
「久しぶり」

小さな声でそう告げると、「久しぶりだな」と嬉しそうに父は笑った。

「しっかりとご飯食べてるか?」

「うん」

「仕事は?」

「ちゃんと行ってる」

「真夜君にわがまま言って迷惑かけてないだろうな」

「かけてないよっ!」

最後の質問にはついムキになって返してしまったけれど、「元気そうで安心した」と父は笑顔を見せた。


それから私たちは四人掛けのテーブル席に向かい合って座った。

改めて店内を見渡すと、席はすべて埋まっているし、奥にある個室にも客が入っている。

「繁盛してるね」

経営難だと父は言っていたけれど、そんな風には見えない。

「うちのホテルに支店を入れたことでメディアに取り上げられただろ。その効果で客が増えたんだよ」

「へぇ」

そういえば、今年の三月、真夜が総支配人を務めているホテル Viola Luna に保しなの支店が新しくオープンしたとき、雑誌やテレビなどで紹介されていたことを思い出す。

高級ホテル Viola Luna に老舗の和食料理屋が新しくオープンするとあって話題となり、それが宣伝になって客足が減っていた保しなに再び客が戻ってきたらしい。

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