強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
「そろそろ真夜、起こさないと」

キッチンで朝食の準備をすませると、私は真夜の部屋へと向かった。

毎朝、絶対に目覚まし時計では起きられないほど寝起きの悪い彼を起こすのが私の日課になっている。

「真夜。おはよー」

頭まですっぽりと掛け布団を被り、すやすやと寝息をたてている真夜の肩を揺する。けれど、布団の中で微かに寝返りをうつだけで、起きる気配はまったくない。

それからも何度か肩や身体を揺するけれど反応がない。

どうやら今朝も長期戦になりそうだ。と、本気で真夜を起こすべく気合いを入れる。

こうなったら最終手段だ。

私は、真夜が被っている掛け布団を剥がそうと手を伸ばした。

「こらっ、起きろ!」

そのまま勢いよくめくろうとした瞬間、掛け布団の中から出てきた真夜の手に手首を掴まれて、勢いよく引っ張られる。

あっという間に布団の中へと誘い込まれた私は、ぎゅっと身体を抱き締められた。

「ま、真夜!?」

目の前には、ほどよく筋肉のついた胸板が……って、どうして上半身裸なの⁉

……もしかして、昨夜シャワーを浴びてすぐにベッドに入って寝てしまったのかもしれない。

真夜はいつもシャワーを浴びたあと、しばらく上半身は何も身につけずにリビングをうろうろしているから。
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