ストロベリーキャンドル



朝になって、私もさすがに限界が来たのか、
眠ってしまっていた。


はっと目を覚まして
慌てて仁がいることを確認する。


部屋には私と仁だけだった。


「仁。起きて……」


仁の痛そうな頬を優しく撫で、手を握ってあげる。


不謹慎だけれど、久しぶりに触れた仁に安心して、
胸が熱くなった。


「一ノ瀬くん。起きたか?」


ガラッと扉が開いて、武田部長が顔を出す。
そう言えば、あれから武田部長も
ずっとついていてくれたのか。


部下思いの部長で本当にありがたいと思う。
武田部長は缶珈琲を2つ手にしていて、
1本私に差し出してくれた。


「ありがとうございます」


一度手で転がしてから、蓋を開けて傾ける。
久しぶりの水分に、口の中が渇ききっていたことを知ってびっくりする。
疲れた体に染みわたり、潤いを感じた。


「神崎くんとは、忙しくて新婚生活も
 ままならなかったんじゃないのか?」


武田部長は珈琲を飲んで乾いた笑みを漏らした。
私も微笑んで、首を振る。


アメリカは、日本ほど暑くないなと、
のんきにそんなことを思った。


< 65 / 95 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop