【最新版】異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
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駐屯地で毎日のように大量のお弁当を作り、異世界に来てから早くも五日が経った。
最初は慣れない天幕での生活や初めて見る食材の調理に戸惑ったりもしたが、無心でなにかをしているほうが見知らぬ地に来た心細さやお母さんの死から目を逸らせるので、まったく苦にならなくなっている。
今日も戦に出ている騎士たちが帰ってきたときのために駐屯地で昼食を作っていた。そのとき、「伝令、伝令ーっ」と叫びながらひとりの騎士が走ってくる。
私は何事だろう、と料理の手を止める。
頬を上気させ、やけに興奮した様子で伝令役の兵は「パンターニュ騎士団がベルテン帝国軍を撤退させました!」と続けた。
思わずエドガーと顔を見合わせ、私は子供みたいに飛び跳ねながら抱きつく。
「バルドさんたちが勝った! お祝いしなきゃ、なに作ろう。ちらし寿司? 紅白なます? お赤飯? 今から腕が鳴る!」
興奮して声を弾ませる私をとっさに抱きとめたエドガーは、いつかみたいに身体を硬直させた。
「お、お願いだから……は、離れて……」
「これは重症だね」
ここまで人見知りを拗らせてるとは……もう人間社会で生きていけないレベルだ。
死にかけているエドガーを見ながら、今までどうやって生きてきたのか気になる。
「そこ、なに騒いでるんです? じゃれ合う暇があるなら、こっちを手伝ってくださいよ」
どこからか、皮肉を込めた一声が飛んでくる。エドガーから離れて声の主を探せば、オリヴィエとロキが幌馬車のほうから歩いてきた。
「ふたりとも、食材を運んできてくれてありがとう。それで聞いて! バルドさんたちが勝ったって! お祝いになにか作ろうと思うんだけど、なにがいいかな!」
嬉しさを隠し切れずにふたりに駆け寄ると、オリヴィエが顔を近づけてきた。それも、じとりと据わった目で。
「あなた、騎士団の勝利よりもお祝いにかこつけて豪勢な料理が食べられることに喜んでいませんか?」
「うっ、もちろん騎士団の勝利も嬉しいですよ。八割は後者ですけど」
ぼそっと本音をこぼしたら、オリヴィエは呆れ交じりのため息をついた。
「食いしん坊女に、人見知り眼鏡、喋るウサギ。ここには変人しかいないんですか。とくにウサギ、こんな気味が悪い生き物とふたりきりにするなんて、心的被害を受けました。慰謝料はきっちりいただきますよ」
私含め変人三名は、びしっと効果音でも鳴りそうな勢いでオリヴィエに指差される。
それにロキは目尻を吊り上げ、耳をぴんと立たせた。
駐屯地で毎日のように大量のお弁当を作り、異世界に来てから早くも五日が経った。
最初は慣れない天幕での生活や初めて見る食材の調理に戸惑ったりもしたが、無心でなにかをしているほうが見知らぬ地に来た心細さやお母さんの死から目を逸らせるので、まったく苦にならなくなっている。
今日も戦に出ている騎士たちが帰ってきたときのために駐屯地で昼食を作っていた。そのとき、「伝令、伝令ーっ」と叫びながらひとりの騎士が走ってくる。
私は何事だろう、と料理の手を止める。
頬を上気させ、やけに興奮した様子で伝令役の兵は「パンターニュ騎士団がベルテン帝国軍を撤退させました!」と続けた。
思わずエドガーと顔を見合わせ、私は子供みたいに飛び跳ねながら抱きつく。
「バルドさんたちが勝った! お祝いしなきゃ、なに作ろう。ちらし寿司? 紅白なます? お赤飯? 今から腕が鳴る!」
興奮して声を弾ませる私をとっさに抱きとめたエドガーは、いつかみたいに身体を硬直させた。
「お、お願いだから……は、離れて……」
「これは重症だね」
ここまで人見知りを拗らせてるとは……もう人間社会で生きていけないレベルだ。
死にかけているエドガーを見ながら、今までどうやって生きてきたのか気になる。
「そこ、なに騒いでるんです? じゃれ合う暇があるなら、こっちを手伝ってくださいよ」
どこからか、皮肉を込めた一声が飛んでくる。エドガーから離れて声の主を探せば、オリヴィエとロキが幌馬車のほうから歩いてきた。
「ふたりとも、食材を運んできてくれてありがとう。それで聞いて! バルドさんたちが勝ったって! お祝いになにか作ろうと思うんだけど、なにがいいかな!」
嬉しさを隠し切れずにふたりに駆け寄ると、オリヴィエが顔を近づけてきた。それも、じとりと据わった目で。
「あなた、騎士団の勝利よりもお祝いにかこつけて豪勢な料理が食べられることに喜んでいませんか?」
「うっ、もちろん騎士団の勝利も嬉しいですよ。八割は後者ですけど」
ぼそっと本音をこぼしたら、オリヴィエは呆れ交じりのため息をついた。
「食いしん坊女に、人見知り眼鏡、喋るウサギ。ここには変人しかいないんですか。とくにウサギ、こんな気味が悪い生き物とふたりきりにするなんて、心的被害を受けました。慰謝料はきっちりいただきますよ」
私含め変人三名は、びしっと効果音でも鳴りそうな勢いでオリヴィエに指差される。
それにロキは目尻を吊り上げ、耳をぴんと立たせた。