【最新版】異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
「ありがとう。人間って喋るウサギに耐性ないからね。だから、生きづらいったらないわ。まったく、耳としっぽが生えてるか、そうじゃないかの違いしかないってのに、困ったもんだよ」
ロキは、いつもの調子に戻っていた。さっきまでのセンチメンタルな気分はどこへいったのやら、短い手で窯を差す。
「そろそろお米が炊けてるんじゃない?」
「あ、忘れてた!」
私は急いで窯を火の元から離し、蒸らすために炉の端に置いた。
「雪、なにか手伝うよ」
「じゃあ、トウモロコシ取ってくれる? トウモロコシご飯にしようと思ってるんだ」
すると、ロキが両手でせっせと運んできてくれた。私はトウモロコシを茹でて実を外し、蒸らし終えたご飯に入れる。そこへ塩コショウも加えてよく混ぜ合わせた。
「本当はおにぎりが崩れないように海苔を巻きたかったんだけど、お店では見つけられなかったから、きっと異世界にはないんだよね」
なので先ほど炒めた生姜焼きをレタスとトウモロコシご飯で挟み、包丁で二等分して出来上がったおにぎらずをお皿に並べる。
エドガーの発明品であるポットのようなものでお湯を沸かし、【ムーギ】という抹茶に似た苦みがあるお茶を淹れるとトレイに載せた。
「エドガー、きっと料理をしないんだね。炉は使った形跡がないし、ポットと冷蔵庫は発明したのにコンロは作らないんだから」
この異世界では火を起こすのが大変だ。
木製のまいぎり式の火起こし器で火を起こしてから、火力を維持するために料理の最中も薪をくべなければならない。
冷蔵庫の中身は剥けばすぐに食べられる果物ばかりで、料理をしていないのは明白。これから料理は私が作ることになりそうなので、手間がかかる火起こしこそ発明してほしい。
私は苦笑しながら、あらかじめ冷蔵庫から出して常温に戻しておいたレタスとサツマイモ、リンゴを使ってロキのご飯を用意する。
「コンロ、エドガーに頼んでみたらいいんじゃない?」
「そうだね。家も冷蔵庫も作れるんだからコンロも発明できちゃいそうだし、お願いしてみるよ。それじゃあ、エドガーに食事を渡してくるね」
私はロキの朝食をセッティングしてから、おにぎらずが載ったトレイを手にキッチンを出る。
外の渡り廊下を通って、離れの作業場にやって来た。鉄の仮面をつけたエドガーが溶接機に似た道具で火花を散らせながら、黙々と作業をしている。
なに作ってるんだろう。
トレイを持ったまま発明を観察する。少しして作業がひと段落したのか、エドガーが鉄のマスクを脱ぎ去った。
作業台の上にある眼鏡をかけてこちらを振り返り、私がいることに気付くと、エドガーは「ぎゃっ」と驚きの声をあげてうしろへ飛び退いた。
「朝ご飯、持ってきたよ」
「朝……?」
エドガーは作業場の窓を見上げる。もしかして、昨日の夜から作業していたのだろうか。
「ああ、もう朝だったんだ。発明してると、時間を忘れるな」
「じゃあ休憩がてら、私と食べようよ。なんの発明してたのかも、聞きたいし」
「でも、まだ発明の途中……けど、お腹も空いたような……」
彼の中で発明は、人間の三大欲求である食欲と同レベルのところにあるらしい。
作りかけの発明品と、私の顔を交互に見て葛藤している。
やがて、エドガーは作業台を空けて椅子をふたつ用意してくれた。迷った末、食欲を優先したようだ。
私たちは隣り合って、濡らしたタオルで手を拭くとまるでサンドイッチのような様相のおにぎらずをひとつ手に取り、かじりつく。
最初は私が横にいるのが落ち着かない様子だったエドガーも、おにぎらずを食べはじめたら無心でもぐもぐと口を動かしていた。味の感想を知りたかったのだが、瞳を輝かせながらおにぎらずを凝視しているところを見ると、気に入ってはくれたようだ。
ロキは、いつもの調子に戻っていた。さっきまでのセンチメンタルな気分はどこへいったのやら、短い手で窯を差す。
「そろそろお米が炊けてるんじゃない?」
「あ、忘れてた!」
私は急いで窯を火の元から離し、蒸らすために炉の端に置いた。
「雪、なにか手伝うよ」
「じゃあ、トウモロコシ取ってくれる? トウモロコシご飯にしようと思ってるんだ」
すると、ロキが両手でせっせと運んできてくれた。私はトウモロコシを茹でて実を外し、蒸らし終えたご飯に入れる。そこへ塩コショウも加えてよく混ぜ合わせた。
「本当はおにぎりが崩れないように海苔を巻きたかったんだけど、お店では見つけられなかったから、きっと異世界にはないんだよね」
なので先ほど炒めた生姜焼きをレタスとトウモロコシご飯で挟み、包丁で二等分して出来上がったおにぎらずをお皿に並べる。
エドガーの発明品であるポットのようなものでお湯を沸かし、【ムーギ】という抹茶に似た苦みがあるお茶を淹れるとトレイに載せた。
「エドガー、きっと料理をしないんだね。炉は使った形跡がないし、ポットと冷蔵庫は発明したのにコンロは作らないんだから」
この異世界では火を起こすのが大変だ。
木製のまいぎり式の火起こし器で火を起こしてから、火力を維持するために料理の最中も薪をくべなければならない。
冷蔵庫の中身は剥けばすぐに食べられる果物ばかりで、料理をしていないのは明白。これから料理は私が作ることになりそうなので、手間がかかる火起こしこそ発明してほしい。
私は苦笑しながら、あらかじめ冷蔵庫から出して常温に戻しておいたレタスとサツマイモ、リンゴを使ってロキのご飯を用意する。
「コンロ、エドガーに頼んでみたらいいんじゃない?」
「そうだね。家も冷蔵庫も作れるんだからコンロも発明できちゃいそうだし、お願いしてみるよ。それじゃあ、エドガーに食事を渡してくるね」
私はロキの朝食をセッティングしてから、おにぎらずが載ったトレイを手にキッチンを出る。
外の渡り廊下を通って、離れの作業場にやって来た。鉄の仮面をつけたエドガーが溶接機に似た道具で火花を散らせながら、黙々と作業をしている。
なに作ってるんだろう。
トレイを持ったまま発明を観察する。少しして作業がひと段落したのか、エドガーが鉄のマスクを脱ぎ去った。
作業台の上にある眼鏡をかけてこちらを振り返り、私がいることに気付くと、エドガーは「ぎゃっ」と驚きの声をあげてうしろへ飛び退いた。
「朝ご飯、持ってきたよ」
「朝……?」
エドガーは作業場の窓を見上げる。もしかして、昨日の夜から作業していたのだろうか。
「ああ、もう朝だったんだ。発明してると、時間を忘れるな」
「じゃあ休憩がてら、私と食べようよ。なんの発明してたのかも、聞きたいし」
「でも、まだ発明の途中……けど、お腹も空いたような……」
彼の中で発明は、人間の三大欲求である食欲と同レベルのところにあるらしい。
作りかけの発明品と、私の顔を交互に見て葛藤している。
やがて、エドガーは作業台を空けて椅子をふたつ用意してくれた。迷った末、食欲を優先したようだ。
私たちは隣り合って、濡らしたタオルで手を拭くとまるでサンドイッチのような様相のおにぎらずをひとつ手に取り、かじりつく。
最初は私が横にいるのが落ち着かない様子だったエドガーも、おにぎらずを食べはじめたら無心でもぐもぐと口を動かしていた。味の感想を知りたかったのだが、瞳を輝かせながらおにぎらずを凝視しているところを見ると、気に入ってはくれたようだ。