夢の中の世界
恵里果が振り向いて叫ぶように言う。


1年生の2人がすぐに駆け寄って来て街の様子を見つめた。


「人の気配がない…」


一輝が小さな声で言う。


「こんなのあり得ない。おかしいのはこの教室だけじゃないってことですか?」


由祐が声を震わせた。


教室の中も外も普通じゃないのなら、外へ出たところで助かるかどうかわからなかった。


「あたしたちの家族はどうなってるんだろう」


恵里果が遠くの景色へ視線を向けて言った。


そうだ。


街の中には自分の家族や友人が暮らしている。


それだけじゃない。


沢山の人々の暮らしがあるのだ。
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