手招きする闇
10 理子の家 食卓
理子、二人分のカレーとサラダを並べる。
理子「さっ、食べよ」
俊樹「頂きます」
理子「うん、おいしい」
俊樹「理子の母ちゃん、料理上手いよな」
理子「俊樹、中学ん時も褒めてた」
俊樹「そうか?」
理子「こう見えて、私もけっこう上手いんだから」
俊樹「嘘だ~。お前に料理してるイメージなんてないない」
理子「失礼ねー。まあ、確かに中学の時は何にもしてなかったよ。でも、最近はよく作ってるんだから」
俊樹「信じられねー。おっ、このポテトサラダも美味い」
理子、にやりと笑う。
俊樹「何だよ」
理子「そのサラダ、今朝私が作ったんだ」
俊樹「マジ?」
スプーンに乗せたサラダをマジマジと見つめる俊樹。
理子「それだけじゃないよ。学校に持って行ってるお弁当
だって、自分で作ってるんだからね」
俊樹「・・・」
理子「ちょっと黙んないでよ。どう? ちょっとは見直した?」
俊樹「えっ? うん、まあ」
理子「ホント? だったら明日、俊樹の分のお弁当も作ってあげよっか?」
俊樹「えっ?」
理子「迷惑なら別にいいけど」
俊樹「いや、助かるよ。どうせ母ちゃん作ってくれないし」
理子「仕方ないよ。俊樹のお母さんは、あんたを育てる為に朝から晩まで働いてるんだもん。もう高校生なんだし、少しはお母さんの手伝いしたら?」
俊樹「してるし」
理子「そう? まあ、あんたは、昔からお母さん大好きな子だったもんね」
俊樹「マザコンだっていいたいのかよ。ひでーなお前、俺の事ゲイって言ったりマザコンって言ったり」
理子「マザコンだなんて言ってないじゃん。そんなんじゃなくて、あんたとお母さんの関係って、昔からいいなと思ってたの」
俊樹「えっ?」
理子「基本的に俊樹って優しいよね。お母さんに何か頼まれたら、嫌な顔一つせずにやってあげてるでしょ」
俊樹「親父が死んでから、母ちゃんには苦労かけてるからな。でも、母ちゃん何でも自分でしょうとするんだ。俺に頼んで来るのは、ゴミ捨てとか、風呂掃除とかくらいでさ」
理子「うちの父親は人使い荒いよー。単身赴任でもすりゃいいのに」
俊樹「そんな事言うなって。それより、おじさんとおばさん、いつ帰って来るの?」
理子「えっとね、明後日」
俊樹「はぁ?」
理子「実はさ、そこの商店街のくじ引きで温泉旅行が当たったのよ。まあ、当てたのは私なんだけど、平日は学校あるし。だから、両親に行ってもらう事にした」
俊樹「へぇー親孝行してるじゃん」
理子「どうする? 来年弟か妹が生まれたら」
俊樹「何言ってんだよ、お前」
理子「あら、可能性はゼロじゃないんじゃない?」
俊樹「まあそれはそれでいいじゃん。お前の父ちゃんと母ちゃんが仲良しだって事で」
理子「・・・」
俊樹「どうした?」
理子「ううん。別に」
俊樹「もしかしてお前、今エッチな事想像しただろ?」
理子「ち、違うわよ。そうだ。テレビでもつけようか」
俊樹「さては図星だな?」
理子「えっと、あれっ? 何だろう?」
テレビでは臨時ニュースが流れていた。
俊樹「何かあったのかな・・・」
理子「あっ、ここってすぐそこのコンビニじゃん!」
画面に、近くのコンビニが映っていた。
テレビからの音声。
記者「本日午後八時過ぎ、中央区古賀のコンビニエンスストアMショップ古賀店で強盗事件が発生しました。犯人三人のうち一人は逮捕されましたが、残る二人は依然逃走中です。犯人は暴力団関係者で日本刀を所持している模様。お近くの住民の方は、戸締りをきちんとして、外に出ないようにして下さい。繰り返します・・・」
俊樹「古賀店って、ここから五分も離れてないじゃん」
理子「さっき、玄関閉めたよね?」
俊樹「たぶん」
理子「あっ、寝室の窓開けてたかも」
俊樹「お前そっち見て来い。俺、玄関見て来るから」
理子「わかった」
俊樹「ついでに全部の窓の鍵、チェックしろよ」
理子「わかった」
部屋の中を慌ててチェックする二人。
理子、二人分のカレーとサラダを並べる。
理子「さっ、食べよ」
俊樹「頂きます」
理子「うん、おいしい」
俊樹「理子の母ちゃん、料理上手いよな」
理子「俊樹、中学ん時も褒めてた」
俊樹「そうか?」
理子「こう見えて、私もけっこう上手いんだから」
俊樹「嘘だ~。お前に料理してるイメージなんてないない」
理子「失礼ねー。まあ、確かに中学の時は何にもしてなかったよ。でも、最近はよく作ってるんだから」
俊樹「信じられねー。おっ、このポテトサラダも美味い」
理子、にやりと笑う。
俊樹「何だよ」
理子「そのサラダ、今朝私が作ったんだ」
俊樹「マジ?」
スプーンに乗せたサラダをマジマジと見つめる俊樹。
理子「それだけじゃないよ。学校に持って行ってるお弁当
だって、自分で作ってるんだからね」
俊樹「・・・」
理子「ちょっと黙んないでよ。どう? ちょっとは見直した?」
俊樹「えっ? うん、まあ」
理子「ホント? だったら明日、俊樹の分のお弁当も作ってあげよっか?」
俊樹「えっ?」
理子「迷惑なら別にいいけど」
俊樹「いや、助かるよ。どうせ母ちゃん作ってくれないし」
理子「仕方ないよ。俊樹のお母さんは、あんたを育てる為に朝から晩まで働いてるんだもん。もう高校生なんだし、少しはお母さんの手伝いしたら?」
俊樹「してるし」
理子「そう? まあ、あんたは、昔からお母さん大好きな子だったもんね」
俊樹「マザコンだっていいたいのかよ。ひでーなお前、俺の事ゲイって言ったりマザコンって言ったり」
理子「マザコンだなんて言ってないじゃん。そんなんじゃなくて、あんたとお母さんの関係って、昔からいいなと思ってたの」
俊樹「えっ?」
理子「基本的に俊樹って優しいよね。お母さんに何か頼まれたら、嫌な顔一つせずにやってあげてるでしょ」
俊樹「親父が死んでから、母ちゃんには苦労かけてるからな。でも、母ちゃん何でも自分でしょうとするんだ。俺に頼んで来るのは、ゴミ捨てとか、風呂掃除とかくらいでさ」
理子「うちの父親は人使い荒いよー。単身赴任でもすりゃいいのに」
俊樹「そんな事言うなって。それより、おじさんとおばさん、いつ帰って来るの?」
理子「えっとね、明後日」
俊樹「はぁ?」
理子「実はさ、そこの商店街のくじ引きで温泉旅行が当たったのよ。まあ、当てたのは私なんだけど、平日は学校あるし。だから、両親に行ってもらう事にした」
俊樹「へぇー親孝行してるじゃん」
理子「どうする? 来年弟か妹が生まれたら」
俊樹「何言ってんだよ、お前」
理子「あら、可能性はゼロじゃないんじゃない?」
俊樹「まあそれはそれでいいじゃん。お前の父ちゃんと母ちゃんが仲良しだって事で」
理子「・・・」
俊樹「どうした?」
理子「ううん。別に」
俊樹「もしかしてお前、今エッチな事想像しただろ?」
理子「ち、違うわよ。そうだ。テレビでもつけようか」
俊樹「さては図星だな?」
理子「えっと、あれっ? 何だろう?」
テレビでは臨時ニュースが流れていた。
俊樹「何かあったのかな・・・」
理子「あっ、ここってすぐそこのコンビニじゃん!」
画面に、近くのコンビニが映っていた。
テレビからの音声。
記者「本日午後八時過ぎ、中央区古賀のコンビニエンスストアMショップ古賀店で強盗事件が発生しました。犯人三人のうち一人は逮捕されましたが、残る二人は依然逃走中です。犯人は暴力団関係者で日本刀を所持している模様。お近くの住民の方は、戸締りをきちんとして、外に出ないようにして下さい。繰り返します・・・」
俊樹「古賀店って、ここから五分も離れてないじゃん」
理子「さっき、玄関閉めたよね?」
俊樹「たぶん」
理子「あっ、寝室の窓開けてたかも」
俊樹「お前そっち見て来い。俺、玄関見て来るから」
理子「わかった」
俊樹「ついでに全部の窓の鍵、チェックしろよ」
理子「わかった」
部屋の中を慌ててチェックする二人。