君のとなり。
紫苑が私の頬に
手を添えて耳元で囁いた。

「僕にしときなよ、希衣。
僕なら希衣のこと大事にするし
絶対に傷つけたりしないから。」

ふわりと微笑まれて、
私の心がぐわりと揺れた。

紫苑は何か勘違いしてる。

私と紫苑はただの幼馴染みなのに。

「私と紫苑は幼馴染みでしょ。
それ以上の関係になることはないよ。
それに、私は鳴海くんに対して
恋愛感情とか持ってないから。」

紫苑を軽く睨むと彼は薄く笑う。

なんだろう、この感覚。

心臓がばくばくいってる。

「そ、ならいいけど。」

紫苑が私の前髪を手でかきあげる。

ちゅっ。

「希衣の婿枠は僕が予約したから。」

ぱちんとウィンクすると
彼は保健室から出ていった。
< 86 / 129 >

この作品をシェア

pagetop