美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「瑠花・・・。三神主任」
「何?もう少し寝かせて。さっき寝付いたばかり・・・」
瑠花はゆっくりと寝返りを打ち、声のする方に背を向けたが、違和感に気づいて慌てて起上がった。
「ほ、穂積部長」
瑠花が寝ぼけた頭で枕元の時計を見ると、時計は8時を指していて、就業開始時刻が近づいていることを示していた。
「君のスマホはどうやら不携帯電話と化しているようだな。我々の連絡をことごとく無視するとはいい度胸だ」
地を這うような不機嫌な朔也の声に瑠花は内心震え上がった。
「メインキーは守衛と共に開けさせてもらった。安全確認のためにやむ無くだ。起きたのならさっさと内鍵を開けなさい」
瑠花は慌てて立ち上がり、一度入り口のドアを閉めてから内鍵を解除した。
開発研究課の女子は瑠花一人ということと、瑠花が研究室のソファで寝てしまうこともしょっちゅうであったために、研究室にはメインの鍵以外に内鍵もつけてもらっていた。
万が一のために外からも解除可能だが、守衛も一応は男性であるため、内鍵解除には施設外への依頼が必要な設定となっている。
内鍵を解除した瑠花を見て、穂積は眉間に皺を寄せて不機嫌に
「なぜスマホを確認しない。君のスマホは飾りか?」
と言い放った。
「すみません。会社からの連絡メールは自宅のパソコンに転送されるように設定していたのですが・・・」
「ほう?その自宅におらず、会社のパソコンも立ち上げていないのなら全く意味はないだろう?」
正論で攻め立てる朔也に瑠花はぐうの音もでない。
おそるおそるスマホのスイッチを入れると、おびただしい数の携帯電話とSNSの着信が画面いっぱいに並んでいた。
「す、すみません。何かご用でしたか?」
「今さらだな。急用だったらどうするつもりだったんだ?」
「急用・・・だったのですか?」
「そんなことより、何故商品を完成させたはずの君がこんなところで寝泊まりしている?残業は許さないと言ったはずだが?」
こちらの問いかけには答えずに畳み掛けてくる朔也に呆れて言葉もでない。
「それは・・・」
「それは?」
「後程、お答えします」
瑠花は白衣を脱ぎ、徐に朔也の背中側にまわると
「とにかく身辺を整えてから部・課長室に伺いますから、しばらくお時間ください」
と言って、朔也を部屋から追い出した。
「まだ話が・・・」
「女子の着替えを覗くのですか?セクハラで訴えますよ?」
勝ち気な態度で睨みをきかせる瑠花に、朔也は諦めて
「30分だ。それまでに来い」
と言ってその場を去っていった。
「何?もう少し寝かせて。さっき寝付いたばかり・・・」
瑠花はゆっくりと寝返りを打ち、声のする方に背を向けたが、違和感に気づいて慌てて起上がった。
「ほ、穂積部長」
瑠花が寝ぼけた頭で枕元の時計を見ると、時計は8時を指していて、就業開始時刻が近づいていることを示していた。
「君のスマホはどうやら不携帯電話と化しているようだな。我々の連絡をことごとく無視するとはいい度胸だ」
地を這うような不機嫌な朔也の声に瑠花は内心震え上がった。
「メインキーは守衛と共に開けさせてもらった。安全確認のためにやむ無くだ。起きたのならさっさと内鍵を開けなさい」
瑠花は慌てて立ち上がり、一度入り口のドアを閉めてから内鍵を解除した。
開発研究課の女子は瑠花一人ということと、瑠花が研究室のソファで寝てしまうこともしょっちゅうであったために、研究室にはメインの鍵以外に内鍵もつけてもらっていた。
万が一のために外からも解除可能だが、守衛も一応は男性であるため、内鍵解除には施設外への依頼が必要な設定となっている。
内鍵を解除した瑠花を見て、穂積は眉間に皺を寄せて不機嫌に
「なぜスマホを確認しない。君のスマホは飾りか?」
と言い放った。
「すみません。会社からの連絡メールは自宅のパソコンに転送されるように設定していたのですが・・・」
「ほう?その自宅におらず、会社のパソコンも立ち上げていないのなら全く意味はないだろう?」
正論で攻め立てる朔也に瑠花はぐうの音もでない。
おそるおそるスマホのスイッチを入れると、おびただしい数の携帯電話とSNSの着信が画面いっぱいに並んでいた。
「す、すみません。何かご用でしたか?」
「今さらだな。急用だったらどうするつもりだったんだ?」
「急用・・・だったのですか?」
「そんなことより、何故商品を完成させたはずの君がこんなところで寝泊まりしている?残業は許さないと言ったはずだが?」
こちらの問いかけには答えずに畳み掛けてくる朔也に呆れて言葉もでない。
「それは・・・」
「それは?」
「後程、お答えします」
瑠花は白衣を脱ぎ、徐に朔也の背中側にまわると
「とにかく身辺を整えてから部・課長室に伺いますから、しばらくお時間ください」
と言って、朔也を部屋から追い出した。
「まだ話が・・・」
「女子の着替えを覗くのですか?セクハラで訴えますよ?」
勝ち気な態度で睨みをきかせる瑠花に、朔也は諦めて
「30分だ。それまでに来い」
と言ってその場を去っていった。