美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「瑠花、そんな顔するな。但馬がこのダミーサイトの存在を俺にバラさなかったということは、ロイヤルシャボン社の了解を得ずにやったことなのかもしれない」

となれば、不正競争防止法の適応になる可能性があるということだ。

不正競争防止法とは、企業秘密の漏洩、製造技術のノウハウや販売マニュアル、顧客リストなど会社が持っている営業秘密を領得や開示、使用する罪などが含まれるが、これは穂積ソワンデシュヴからロイヤルシャボン社側に情報が漏らされた場合に適応となる。

一方で、但馬が行った、ロイヤルシャボン社の名前を勝手に使ったことに対する『著名表示冒用』という罪もこの法律に含まれる。

いずれの側からも、但馬に対して罪を問える可能性が出てきた、と朔也は語った。

ともすれば、瑠花を脅した恐喝罪、商品を盗んだ罪を被せようとする名誉毀損罪にも問えるだろう。

「私も研究開発課の社員も、長い間、狭間部長と但馬課長には煮え湯を飲まされてきました。私にできることなら何でも協力します。どうか穂積ソワンデシュヴから彼等を排除してください」

どうせ退職届も出したのだ。

瑠花は゛死ねばもろとも゛と覚悟を決めて、穂積ソワンデシュブからあの二人を排除する決意を固めた。

同時に、だんだん酔いが覚めてきたことを自覚した瑠花は、急に自分がどうやってここまで歩いてきたのかが猛烈に気になり始めた。

「あ、あのう、穂積部長、私はどうやってここまで歩いてきたのでしょうか・・・?」

まさかの現実が頭をよぎるが認めたくはない。

だからあえて聞くのだが、

「ああ、俺が抱っこで連れてきたよ。お姫様」

そう、耳元で甘く囁く朔也の唇が、突然、瑠花の唇を奪った。

一瞬何が起こったかわからなかった。

呆然としてソファに座ったままの瑠花を、朔也は再びお姫様だっこして歩き出す。

「きゃあ!ぶ、部長、やめてください。恥ずかしい・・・ん・・・!」

「ったく、朔也、だと何度言えばわかるんだ。とにかく今は頭を冷やしてこい。着替えは準備しといてやるから、ゆっくり風呂に入ってリセットしろ」

再び瑠花の唇を奪った俺様朔也は、何事もなかったかのように瑠花に言い放った。

唇を押さえて真っ赤になり言葉を発せずにいるうちに、瑠花は朔也に抱かれてバスルームにたどり着く。

広く清潔なバスルームに漂っていた香りにふと気をとられる。

それは間違いなく、瑠花が先程完成させた新商品、柑橘系アプリコットの香り漂うアミノ酸系オーガニックシャンプーのものに違いなかった。
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