美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「ぶ、朔也さん、副社長が穂積ソワンデシュブを継ぐって本当ですか?」

髪が乾き終わっても、いつまでもその手触りを楽しむ朔也に、居たたまれなくなった瑠花は唐突な質問を投げた。

「叔父が?アイツに任せたら、3日で穂積は経営破綻するだろうな」

朔也によると、副社長はあくまでも飾りであって実質は何もしていない。

副社長夫人と狭間部長は下克上を狙って画策しているが、失敗するのは目に見えていると語った。

そう語りながらも、瑠花の髪にキスを続けてうっとりしている朔也に動揺を隠せない瑠花は、

「も、もしかして、ぶ、朔也さんは髪フェチなのですか?」

と尋ねてしまった。

一瞬、いつもの無表情に戻った朔也に、瑠花は゛失敗した゛と内心焦ったが、

「ああ、俺も当時それを疑ったが、瑠花の髪以外には反応しない。俺は瑠花が持つこの髪だから好きなんだ」

゛好き゛

という言葉に動揺する。

一度も染めたことのない、パーマをかけたこともないバージンヘアは瑠花と穂積ソワンデシュヴの製品が作り上げたものだ。

髪とはいえ、自分の一部を誉められたことは素直に嬉しい。

これまでの努力を全て認めてもらえたようで、瑠花は頑張ってきて良かったと、素直に自分を認めることができた。
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