初恋エモ





クラス替えの結果、穂波さんや派手女子とはクラスが離れ、音楽好きの男女とは引き続き同じクラスになれた。


教室で孤立することがなくなり、学校生活は順調だった。

真緒も学童に入り、放課後は自由な時間が増えた。


放課後、ランニングをしている色とりどりの運動部を眺めながら自転車置き場へ向かう。

あの軍団はサッカー部かな、あのジャージはバスケ部かな。

みんな頑張ってるんだなぁ、なんてことを思いながら。


「あ、美透ちゃんだ。今帰り?」

「は、はいいっ!!」


自転車置き場で偶然ミハラさんと鉢合わせた。

この前クノさんに変なことを言われたせいか、無性にドキッとしてしまう。

びっくりさせてごめん、と謝らせてしまった。申し訳ない。


「ミハラさんも帰りですか? 部活は?」

「今日は休み。よかったらこの前の焼き芋のお礼するよ」

「すみません、今日はバイトで……」


と言いかけたところで、時間はまだ15時半。

今日のバイトは17時から。時間はある。


「いえ、バイトまで時間があります!」


なぜかそう言い直す私。

お礼をしてもらいたいわけではないけれど。なんでだろう。


「じゃあマックでも行こう。MVの感想も語りたいし」


そう言って、優しく微笑むミハラさんを見て思った。

これって放課後デートみたいなものじゃない? いや違う、違うって!


どぎまぎしているうちに店に到着。

ささっとお金を払うミハラさんと「自分で払いますよ」「いいからいいから」の攻防を繰り広げたが。

美透ちゃん静かに! と頭をぽんと撫でられ、私は折れた。


「へぇ、スクリーミンズ全国デビューってすごいね。タワレコとかでCD買えるってことでしょ?」


話題はバンドのことになり、葉山さんの状況について話した。

飲み物片手にミハラさんもびっくりしている。

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