蛍火に揺れる

「何か…ごめんね、お母さん大暴走してて……」

本来なら自分達で準備するべきであろうし、幼い頃ぐらいは親の趣味の服を着させるべき!だというのを聞いたことがある。
だから私はお母さんが『ベビー服を作っていいか?』と聞かれた時、最初は断ろうとした。

でもそれを止めたのはノリ君で、『せっかくだし作ってもらおうよ』と後押ししてくれたのだった。
里帰りはしないし(そもそも実家に近い産科が潰れてしまった…)それぐらいはしてもらってもいいでしょ?と。


「まぁ沙絵ちゃんの所も初孫なんだし、お義母さん張り切ってるんでしょ?」

「でも張り切りすぎだと思うんだけど……」

「じゃあ僕、お義母さんにお礼の電話してくるね」

そして立ち上がり携帯を手に取ると、電話をかけているノリ君。


「もしもし?お義母さん?はい、ありがとうございます。いえいえ!どれも素敵で……はい」


笑顔で電話をかけているノリを見ながら…こういう時、私はこの人と人間としての差を感じる。
私はこんな風に、趣味でもない物を送られてきた時、笑顔でありがとうの電話ができるだろうか。尚且つ気を使う義理の両親なら尚更。
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