蛍火に揺れる
笑顔で電話をかけているノリ君を横目に、私は夕食の準備を始める。
笑顔でうちのお母さんと話している様子は、私のさっきの電話と正反対。
実の親子だから遠慮がない…とは聞こえの良い言い方で、私は親に対して思い遣りがなさすぎると少し反省。
里帰りもせず頑張ろうとしている私達に、少しでも協力しようと力になってくれているのだから。
「沙絵ちゃんお待たせ、食べよっか」
電話を終えたノリ君は、準備が終わった食卓につく。
私も席に着くと『いただきます』をして、二人で食べ始めた。
相変わらずおかず二品と汁物だけの簡素な食卓だが、まぁあの頃に比べれば随分とマシである。
「さっきお義母さんが話していたけど、今のうちにベビー用品見繕っておいた方がいいんじゃないかって言ってた」
「ああ…さっきも言ってたよ」
「ほらさ、うち都内だけど車が無いからさ、お腹が大きくなってからだったら出掛けづらくもなるし、大きい買い物もしづらくなるんじゃないかって心配していた」
まぁ確かに…お母さんの言うことはごもっともで、我が家は電車移動が主。
大きいものを買ったときはタクシーで移動するか、そもそも最初っから通販で買うかだ。