蛍火に揺れる

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「えっ、だからゴメンって。はいはい、うん。そうなんだけど……えー、ひどいなぁー大村課長様ー」


夕飯を終えたノリ君は、大村君に電話をかけている模様。
何やら電話越しの声が呆れているような、怒っているような…それに対しノリ君は呑気な話し方なので、まぁ平常運転の二人といったところなのではないかと。


私はソファーに寝っ転がって、ベビー用品のお店やマタニティウェアについて色々と携帯を使って調べていた。

(やっぱ実店舗より通販の方が種類あるしいいよなぁ…でもズボンはさすがに試着したいし……)


「えっ!今二人で居るの?!」

いきなりノリ君が大声をあげたので、びくっと体が反応。
何なんだ?!と飛び起きて、ノリ君を見る。

「えー、はいはい。ああ、あそこね。知ってるよ」

すると次の瞬間ーノリ君は、自分の携帯を耳から離して、私に手招きする。

「沙絵ちゃん、ごめん、携帯貸して」

何なんだ?と私は首を傾げながら、ノリ君に携帯を差し出す。そして受け取ると、私の携帯で何かを調べ始めている。

「大村ぁーいいこと教えてあげよっか?そこのホテル、スカイツリーが客室から綺麗に見えるんだよねー」

自分の携帯で会話をしながら、私の携帯では調べものという器用なことをしている。
私は状況がよくわからないので、ただぼうっと彼の様子を眺めている。

すると次の瞬間ー私の携帯とノリ君の携帯を持ち換えた。
何やら私の携帯で会話をする模様。


「あ、もしもし?すいません、今から一部屋空いてますか?
 二名スカイツリーが見える部屋でお願いしたいんですが」

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