蛍火に揺れる
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そして翌日。
いつもより少し遅い時間にノリ君は出勤して行った。
「多分夕方までには帰れるよ」と言いながら。

まぁ言わずもがな……仕事とは別の意味で楽しみなんだろうなという笑顔を滲み出しながらの出勤だ。

こんな色恋沙汰に浮かれるなんて中学生かと突っ込みたいのは山々であるが、まぁ私も少なからず気に掛けているのは確かで。


ただ何となく、あの二人のこともだけれど遠い世界の話のように錯覚してしまう。
この間まで一緒に働いていた仲間だったのに、だ。


(そっか……もう辞めて二ヶ月になるんだ……)

カレンダーを見て、ふと気付く。
一ヶ月はマトモに出勤できなかったので、会社から遠ざかっている時間はトータルすると三ヶ月以上になる。


正直最近まで悪阻が酷い状態だったので、会社のことなんか考えたことはなかったけれど…なんだか、随分私は違う世界に足を踏み入れている気がしている。


……いやいや、これじゃダメだ。
マイナス思考に陥りそうだ。
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