蛍火に揺れる
そう思った私は、携帯を手にしてお母さんに電話をかける。
いつもの通り数回のコールで電話は繋がった。


「もしもし?お母さん?」

『なあに沙絵?ベビー用品のこと?』

「うん、明日行こうって思ってるんだけど……」

『ベビーバスとかは嵩張るし今のうちに買っておきなさいよ。空気入れるビニール製でもいいかも知れないけど、ちゃんとしたプラスチックの買っておけば夏場に水遊びで使えるから便利よ。それとね……』

その後も続く、お母さんによるベビー用品講談。知識を余すことなく使って欲しいという親心?なんだろうと思うけれど……。


「…あのね、お母さん」

私は会話の途切れ目でーどうしてもお母さんに聞きたかったことを投げ掛けてみた。


『なあに沙絵?』

「お母さん仕事辞めたとき……どういう気持ちだった?」

お母さんは私が高校生の頃、仕事を辞めている。
それは祖父母の介護のために仕方なく……という感じだったので、仕事が好きだったお母さんはどう気持ちの折り合いを付けていたのか、気になったのだ。
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