蛍火に揺れる
そして予想よりも少しオーバーして歩くこと五十分。ようやく実家の前までやってきた。


「……沙絵ちゃん、ひょっとしてお嬢様育
ち?」


なぜノリ君がこんなことを言っているのかと言うと、この実家の大きさだろう。
都会ではあり得ない二階建て6LDK。リビングは二十畳もある。

「そんなことはない」

まぁこの辺の土地なんて、タダ同然に近いお値段。

「元々小さい頃はひいおばあちゃんも生きてて、四世代で同居してたの」

更に言うなら、祖父母は元役所勤務の公務員、両親も元保育士と元小学校教諭という一応公務員という括りなので、四人でがっつりローン組んだ結果がこれだ。
今は両親だけが住んでいるので、部屋が余って仕方ないのだといつも愚痴を溢されている。



私はインターフォンも押さずに「ただいまー」と言って玄関の引戸を開ける。
「おかえりなさい」と遠くから声がして、母親が玄関まで走ってきた。

「ただいま。お母さん、今お付き合いしている江浪さんです」

紹介すると、はじめましてと頭を下げるノリ君。お母さんもつられて頭を下げている。
お母さんの表情を見ると…あぁ、これは『予想よりいい人がきた!』的な驚きかただなこれは。
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