君の世界を知りたかった。
「この嘘つきっ!」


彩奈が私を叩こうとしてる。

私は反射的に目をつぶった。


でも何も起きない。

少しずつ目を開けてみよう。


……あ!


宇佐美君だ。


「なぁ、なにしてんの?」


彩奈は絶望的な顔をしている。

私に手をあげたのを見られて困惑しているようだ。


「け、圭くん!私、なにもしてないよ?」

「お前の方が嘘つきだろ。今、三井を殴ろうとしてただろ。謝れよ」


ダメ。


宇佐美君がそんなこと言ったら、これからもっと彩奈の私に対する扱いが酷くなる。



もう、昔の私には戻りたくないんだ。


「やめて」


"やめて"の3文字を精一杯言った。


「お願い。宇佐美君、私が悪かったから、だからもう、これ以上彩奈に何も言わないで」

「……そうよ!菜乃葉もそう言ってるんだしそれでいいじゃない、圭くん!」
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