追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 私はノアール様を抱き締めながら、バクバクと騒ぐ鼓動を抑え付けるのに必死だった。この状況だと、ノアール様は再び命を狙われてしまうのではないだろうか……。一番の懸念事項はそれだった。
 ゴクリと緊張に喉を鳴らし、ゆっくりと口を開いた。
「差し出がましいようですが、事はあまりにも大きいです。この一件をクロフや国王様に打ち明け、意見をあおぎませんか? 彼らなら、状況に相応しい対処の仕方を心得ているはずです」
「それはできないよ。だって今話したことは全部、僕の被害妄想かもしれない。僕の不用意な発言で、いたずらにお兄様を悲しませたくない。なにより僕自身、不安なんだ。もしかすると僕は、お母様が亡くなって悲しくて、少しおかしいのかもしれない……」
 私の提案に、ノアール様は緩く首を横に振って答えた。その言葉に、ノアール様の苦渋と葛藤を垣間見た思いだった。
 十歳の少年がアンリエッタ様の死から半年以上も、ひとりでこの秘密を抱え、どれほど苦しんできたか察するに余りあった。
 ……けれどノアール様は、ひとつ思い違いをしている。
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