追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 ノアール様は「いたずらにお兄様を悲しませたくない」とそう言ったけれど、大切な弟が食べ物が喉を通らないくらい思い悩み、窶れていくのを前にして、見守ることしかできない。クロフはきっと、それこそを悲しく、そして不甲斐なく思っているのではないだろうか。
 だからこそ、私のクッキーに望みを見いだしたクロフは、あんなにも必死になって宮殿への同行を乞うたのだ。
 ただしこれに関しては、ぽっと出の私が安易に口にしていいものではないと感じた。
「大丈夫ですよ、ノアール様。こうしてお兄様を思いやる優しいあなたが、おかしいわけがありません。だから不安に思わなくて、大丈夫です」
 ノアール様の不安が少しでも和らぐように、こんなふうに告げるのが精一杯だった。
 するとノアール様が、泣き笑いみたいな顔で私を見上げた。
「なんでだろうな。誰にも言うつもりなんてなかったのに、どうしてかアイリーンには言いたくなっちゃったんだ。……きっと今日が七回目の節目の日で、そうしてあなたがやわらかで優しくて、お母様みたいだからかな」
 私はこぼれそうになる涙をグッと堪え、ノアール様を抱く腕に力を篭めた――。

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