追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
「本当に。そもそも、クロフ殿下が一緒に行かれると思えばこそ、参加を決めましたのに。それがまさか、政務で不参加だなんて、それではわざわざ行く意味がありませんわね」
「まったくですわ。特に私は、あの、やたらと大きくて目つきの悪いペットが不愉快で仕方ありませんわ。とはいえ、一度行くといったものを、今更不参加に覆すのもクロフ殿下の心証を悪くしますし。仕方ありませんから、今日は弟殿下のお守りに付き合うことにいたしますわ」
 前方を行くプリエーラや令嬢らが、コソコソと不満を囁き合う。ノアールに聞こえぬよう声を潜めているつもりのようだが、俺の耳には筒抜けだった。
 ちなみに俺は聖獣の血を引くからか、人型でも他の人より少しばかり耳がいいのを自覚している。隣を歩くノアールの涼し気な表情からはなにも読み取れないが、もしかするとその耳にも、彼女らの悪意に満ちた囁きが聞こえているかもしれないと思った。
「あぁ~、いい気持ちね! 太陽の光をいっぱいに浴びながら、慰霊を兼ねてピクニックに行けるなんて、なんて贅沢なのかしら」
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