追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 ノアールの護衛としてずっと以前から仕えていた彼らに、まさかバーモン侯爵家の息がかかっていようとは想像もしていなかった。しかも彼らは、味方側であるプリエーラを俺ら共々殺すことにも一切躊躇わない。
 ただし、そんなのは言い訳だ。
 俺は全ての状況に気を配っていなければいけなかった。これはひとえに、プリエーラに気を取られるあまり、それ以外をまるで警戒できていなかった俺の落ち度だ――!
 耐久性に優れた強靭なロープとて、叩き込まれた大斧の刃には、敵う術なく断裂する。
 俺が吊り橋の分断を視認したのと、踏んでいた渡り板の感触がなくなるのは、ほとんど同時だった。
 ノアールやプリエーラたちの状況を視界の端に捉えながら、俺は咄嗟にアイリーンの脇腹を銜えた。
 ……クソッ! 宙に投げ出されるような浮遊感に襲われながら、なんとか体のバネを使い、岸を目指して跳んだ。
 岸では護衛官らが大斧を振り上げて、俺を打ち落とそうと構えていたが、俺は容赦のない力で蹴り飛ばして岸上の地面に着地した。
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