追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 突然、背後から声を掛けられて、俺は頬張っていたサンドイッチを喉に詰まらせて噎せ込んだ。
 なんとか咳の発作が治ったところで、ギシギシと軋む首を巡らせて振り返れば、入口に腕組みして寄り掛かるルークの姿があった。
「ガ、ガゥ」
 ……よ、ルーク。久しぶりだな! 
「久しぶり、は正しくねぇぜ。なにせ道中、俺は連日のように木陰やら植え込みやらから、ちょろちょろと覗く尾っぽやら耳やらを見てきたからな。そのおかげで彼女と同乗する車内でも、まるで気が休まらなかったぜ」
 呆れたように告げられて、返す言葉がなかった。俺はシュンと項垂れて、「すまない」を態度で示す。
「……はぁ。とはいえ、彼女を恋敵とともに旅立たせて、お前がひとり大人しく留守番できるとは端から思っちゃいなかったけどな」
 え!? そうなのか?
 ルークから告げられた予想外の言葉に、俯いていた顔を上げ、パチパチと瞬く。
「じゃなきゃあの老夫婦の家で、わざわざお前の放浪癖などでっちあげて説明したりしねえだろ?」
 ……たしかにそうだ!
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