追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 そうして奴の尾っぽを追いかけて着いた先が、この貯蔵庫の二階だったというわけだ。
 ちなみに奴は俺をここに案内すると、役目は済んだとばかりに、ピョンッと窓から飛び降りて消えた。貯蔵庫の二階は、全面に絨毯が敷かれ、特大のクッションに、各種ドリンクやすぐに摘まめる軽食までが潤沢に用意されていた。
 二晩野宿が続いていた俺は、久しぶりに屋根があり、ふかふかの絨毯にクッションまである温かな寝床に歓喜した。
 聖獣は耳がいい。けれど、奴がため息と共にこぼした「……曲がりなりにもカダール皇国の皇太子を、宮殿前に転がしておくわけにもいくまいよ」という呟きは、嬉々としてクッションにダイブする俺には、意味ある言葉として認識されなかった。
 なんにせよ、二晩振りに温かな寝床で惰眠を貪り、気持ちのいい目覚めを迎えることができたのは嬉しい限りだ。
 軽く腹を満たしたら、さっそくアイリーンの現状を探りに出発だ! 俺は尾っぽ揺らしながら、作り置きのサンドイッチに噛り付いた。
「……ほぅ。こりゃあ、なかなか居心地がよさそうじゃねーか。なぁ? 放浪癖のネコちゃん?」
 っ! 
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