かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
「じゃあ、正々堂々と」
「……はい」
 自分から手を伸ばし、彼女と堅い握手をしたのだった。
 当の本人は、自分を巡って小さなバトルを繰り広げられているのにも気づかずに。
 今日も、私に相談を持ち掛けてきた。
 純が悩むのは、決まってバンドのことだ。
「なあ、この前の歌詞、“何とか収まったけど、もっと世界が広がらないか?」
「そんなぁ。私、これ以上なにもできないよ」
「俺だって書けない」
「そんなこと言ったって、あなたが何とかしてよ。私、バンドなんてよく解らないよ」
「……私なら、できるかも」
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