かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
「でも淋しいね。TRUTHもいよいよ解散かぁ」
「うん、淋しい、とても。でも僕は、いつまでも瞬の背中を追っていきたい」
 私は次の楽曲に向けて、憶いを馳せていた。
「なあ……」
 そんな私に、純が声を投げかける。
「……このあと、軽音の練習に顔出さないか?」
 ってことは、瞬と――元彼みたいなひとと、顔を合わせるわけで。
 今年の1月の私の誕生日に別れて以来、会っていない。
 ちょっと気まずいかも、そう思っていたところ。
「――瞬も、アンタに会いたいみたいだから」
 純のそんな言葉に、ちょっとびっくりしてみたりもして。
< 152 / 400 >

この作品をシェア

pagetop