かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 気持ちも、高野先生の方へ向かっているようだった。
 私は、彼を好きなのだろうか。
 外見とか、先生という立場ではなく、ひとりの男のひととして――。
 自問してみたけれど、答えは出ないまま、私は職員室のドアに手をかけた。
 中には数人の先生がいて、その中には高野先生の後ろ姿もあった。
 私はそこを目指してずいずいと進んで行く。
 気配に気づいてか、先生は振り向いた。
 すると、メガネの奥の瞳を細めて笑顔になる。
「よかった。まだいたか。これから探しにいくとこだったよ」
「寝てた」
「そうか。夏の午睡は気持ちがいいもんな」
「シエスタ」
< 242 / 400 >

この作品をシェア

pagetop