かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
――私も行った方がいいかな。ただ見ているだけでは忍びない――そう思いつつ、止めておいた。
何だか――フロントガラス越しに、見ていたい光景だったのだ。
先生が起き上ったお婆ちゃんに杖を渡し、こちらの車の方を指差し、婆さんに何か云っている様子だ。
お婆ちゃんは顔いっぱいの笑みを見せ、手を左右に振り、何か“だいじょうぶ、だいじょうぶ”と云っているようだ。
そして杖をつきつき、歩み出した。
先生はしばらく、そんなお婆ちゃんの後ろ姿を見守っていた。
優しい本能を持っているんだ。私は改めて高野先生を見直した。
そういえば、香花ちゃんにも目をかけていたっけ、先生。
私は背もたれに寄りかかり、ふうん、と鼻を鳴らした。
ややあって、先生は車に乗り込んできた。
「車で送るって云ったの?」
何だか――フロントガラス越しに、見ていたい光景だったのだ。
先生が起き上ったお婆ちゃんに杖を渡し、こちらの車の方を指差し、婆さんに何か云っている様子だ。
お婆ちゃんは顔いっぱいの笑みを見せ、手を左右に振り、何か“だいじょうぶ、だいじょうぶ”と云っているようだ。
そして杖をつきつき、歩み出した。
先生はしばらく、そんなお婆ちゃんの後ろ姿を見守っていた。
優しい本能を持っているんだ。私は改めて高野先生を見直した。
そういえば、香花ちゃんにも目をかけていたっけ、先生。
私は背もたれに寄りかかり、ふうん、と鼻を鳴らした。
ややあって、先生は車に乗り込んできた。
「車で送るって云ったの?」