かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
「……」
 先生は何も返してこなかった。
 しばらく沈黙があった。
 先生はテーブルの影に隠れているから、こちらからは表情は覗えない。
「……くしゅん!」
 ぶるっと一瞬寒気がして、くしゃみが出てしまった。
 先生はゆっくりと起き上った。
「オマエ、髪乾かしてないじゃん」
 ずずっと私は鼻を啜る。
「だってめんどくさい」
 お風呂の洗面所には、ドライヤーが置かれていた。
「風邪引いたら大変だ。フロントでドライヤー借りてくる」
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