かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
父親――それは言い過ぎだけど、やっぱり先生は“お兄ちゃん”だ――。
カチ、と先生がドライヤーを止めた。
すっかり乾いたようだ。
「オマエ、櫛持ってる?」
「うん、鞄の中に――ほら」
「貸して」
どうやら髪の毛を梳いてくれるらしい。
こういうところとか、ひとに優しくて気配りができるところは“いい旦那さん”“いいお父さん”になりそうだけど――。
「ああ、嫁さん欲しいな」
「まだ言ってる」
「オマエに言ってるんだよ」
「――だから、私はまだ結婚願望ないって」
カチ、と先生がドライヤーを止めた。
すっかり乾いたようだ。
「オマエ、櫛持ってる?」
「うん、鞄の中に――ほら」
「貸して」
どうやら髪の毛を梳いてくれるらしい。
こういうところとか、ひとに優しくて気配りができるところは“いい旦那さん”“いいお父さん”になりそうだけど――。
「ああ、嫁さん欲しいな」
「まだ言ってる」
「オマエに言ってるんだよ」
「――だから、私はまだ結婚願望ないって」