かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 そんな夏休みのある日。
 私は、純に呼び出されていた。
 話がしたい――そう言われれば、彼の申し出を無下にすることもできなかった。
 呼び出されたのは、学校の校舎に並ぶ中庭のベンチ。
 外では、運動部の威勢良い掛け声と、みんみん蝉の声があいまっている。
 先にいたのは純だった。
 遅れて私が、彼の名を呼ぶと、はっとしたように私を見、そして眉をハの字にしてうな垂れた。
 純が、こんなにも感情を露わにするとは何事? とちょっと焦った。
 私、何かしたかしら――? と、考えあぐねていた。
「俺、もう、どうしたら――」
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