かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
私が純の隣に座ると、彼は涙を流さんばかりに弱音を吐いた。
「どうしたら、って、どうしたの?」
私は彼の背中をさすってやる。
何でも話して、という気持ちから出た行為だった。
「圭吾先輩も瞬もいないバンドなんて、やっていける気がしない――」
遠くで、かきーんと、野球部のバッドが鳴る音が聞こえる。
そして、蝉の大合唱。
「ソロでやる自信がなくてどうするの? あなたが大事にしてるのは、自分の世界観と自分の声でしょう」
純は両手を組んだまま、僅かに顔をあげる。
「皆は……進路はどうするって?」
「圭吾先輩は、バンドはこれっきりだって。瞬は東京の政経科に進むって」
「じゃあ、1年後に追いかければいいじゃない」
「どうしたら、って、どうしたの?」
私は彼の背中をさすってやる。
何でも話して、という気持ちから出た行為だった。
「圭吾先輩も瞬もいないバンドなんて、やっていける気がしない――」
遠くで、かきーんと、野球部のバッドが鳴る音が聞こえる。
そして、蝉の大合唱。
「ソロでやる自信がなくてどうするの? あなたが大事にしてるのは、自分の世界観と自分の声でしょう」
純は両手を組んだまま、僅かに顔をあげる。
「皆は……進路はどうするって?」
「圭吾先輩は、バンドはこれっきりだって。瞬は東京の政経科に進むって」
「じゃあ、1年後に追いかければいいじゃない」