かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 何のための私なんだろう。
 詞を書けると言った香花ちゃんも、純から離れていった。
 ここで、私がいなかったら、純は。
 本当に、行く末の光を感じられずにはいられないのではないか。
 一体、私は何をしていたのだろう。
 私は、一体、何の為に存在しているのだろう。
 そう思うと、私は。
 ひとり、教室へ戻って、物理のノートをびりびりと破って、そこにペンを置いたのだった。
 散文を――詞を、詞を書かなきゃ。
 純の為に、何か役立たなきゃ。
 それが、私の使命。
 そう、思い直したのであった。
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