かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 私が呼んだ“お母さん”とは実の母のことではない。
 私の幼馴染で、初めてのボーイフレンドだった祐太のお母さんのことだ。
 ここは祐太の家。
 私の家から歩いて来られる距離だった。
 よくお互いの家を行き来したものだった。
 時にはお泊りをし、祐太と同じ布団で寝たこともしばしば。
 だけど彼は、9歳の時に持病の喘息で息を引き取った。
 それも、クリスマスの夜に。
 祐太はサンタクロースに連れられて行ってしまった。
 私のメアドやラインのIDには必ず、1225と入れるようにしている。
 そして私は自分の家の部屋に、祭壇を作り、毎日手を合わせていた。
 そう、去年までは。
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