うるせえ、玉の輿。


『えーっと』

業平は、サラサラの髪を掻き上げながら少し困ったように視線をさ迷わせていた。
なんだろう。この人と私は、本当に同じ時間を生きているのだろうか。
別世界みたい。王子様と物乞いのおばあさんみたいな身分差を感じてしまう。

『君は道端で落ちてる石ころだ。心無い大人に蹴られて、いろんな壁にぶつけられて、心がすりむいている』
『ふむふむ』
『俺は魔法使いになってあげよう。君、絶対に可愛いと思うんだよね。ちょっとおいで』

手招きされて、身構えると手を握られた。
引きずられるように連れていかれる。

途中でひらひらと空を自由に飛んでいる蝶々が見えた。
その蝶が、自由奔放な業平みたいで羨ましく思えた。



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