うるせえ、玉の輿。

ペタペタと歩いて玄関に向かうと、大きなクマのぬいぐるみと四角い箱、腕には何個も紙袋を持ってよろめきながらブーツを脱いでいる業平の姿があった。

「おかえり。どうしたの、これ」
「デディベアはうちの親からよお。ケーキは私からのご褒美。知らない男の子と会話してくれたんでしょう。あと、そのだっさい服を見たくなかったから、新しい服」

クマにぬいぐるみの足は、片方私の名前、もう片方に業平の名前がローマ字で入ってる。

「195センチのクマのぬいぐるみなんですって。きゃっ。これ、私に頂戴。一人寝がさみしい時に抱きしめちゃうっ」
「え、あ、-、うん。私はいらないからいいよ」
「じゃあ寝室に置いてくる。悪いけど、麻琴ちゃんはケーキもって冷蔵庫に入れておいて。で、洋服見てね。下着のサイズはどうだった?」
「段ボール! 開けてもなかったわ」

忘れてた。あの中に下着があるのか。
全く忘れて、今日は一日、庭の畑を見ていたわ。
肥料巻いたり、食べごろの野菜収穫したり。

「んもーっ。駄目じゃない。あら、でもいい匂い。美味しそうだわあ。ちょっと待っててね。着替えてからすぐにご飯食べちゃうから」

いそいそと階段を上がっていく業平とクマ。
なんであいつ、私より数億倍いい匂いすんだろう。


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