うるせえ、玉の輿。
スープを飲もうとしていた業平の喉から変な音がする。カエルがつぶれたような、悲惨で悲痛な声に似ていた。
「おばさんたちも、業平の子どもさえできたらあとは自由にしてくれると思うんだよね。うちの仕事場、育休できるし近くに保育園あるし。子作りが嫌なら、病院で体外受精とか」
「待って頂戴。貴方、本気で言ってるの?」
「まあ、業平の子どもならすっごい可愛いし私は別にいいよ」
白ご飯沢山に、ハンバーグを味が分かるぐらいの少量食べてもぐもぐしていたら、業平は口を手で覆いいて難しい顔をしている。
「あのね。麻琴ちゃんの子どもならすっごく可愛いと思うのよ。でも、私と貴方は、子どもを育てない、私利私欲のためなら子供を殴る親を見てきたわよね。児童養護施設に、愛がもらえない子供が沢山いたでしょ。貴方、そこで生活したでしょ。なのに、言ってるの?」
「……業平ならいいかなって」
「私が好きな男の人がいるのに? 私がその人に現を抜かして、あなたが暗闇で私が帰らないリビングで、夜泣きする赤ちゃんを! 目の下に隈をつくって子育てして!? そんな家庭寂しすぎるわ!」
おうおうおうと、意外と男らしく泣く業平に、台ふきを渡した。
業平は台ふきで、顔を覆ってまだ泣いている。
「ごめんなさい」
「貴方は、うちの親のために子供を作ろうと言ったの。そんなの親になる発言じゃないんだからね」