うるせえ、玉の輿。


顎に命中し、ひっくり返ったカエルのようになった彼を抱き起したのは、王子様みたいな業平だった。

業平は、仕事道具を放り投げて彼を抱き起し、頬擦りしている。

それに舞う、彼の仕事道具。
ケースに入った付け睫毛、カラフルな数種類のルージュ、ネイル液、アイラインにアイシャドウ、散らばって二人の近くに落ちて転がっていく。

その光景が、CMとか街頭ポスターみたいで見とれてしまった。
業平は、男も女も関係なく王子様になれるみたいだ。

「……ごめん。来ないでって言ったのにジョージさんが肩を掴もうとしたから、ついプロレス技をかけてしまいました」
「んっもー! でも仕方ないわ。教えたのは私だし。ちょっと彼のトラックと私の車を駐車場に停めるから、あなたは家で彼の手当てをして」
「ええ、私が? 苦手なゴリラみたいな大男を!?」
「丞爾くんは、可愛いから大丈夫よ!」
私の蹴りが顎にヒットしたようで、伸びているジョージさんを二人がかりでソファに運んで寝かすと、業平は慌ただしく外に飛び出す。

業平が車を移動している間、伸びている彼にお弁当にいれるように使っていた保冷剤を顎と額に乗せてみた。

「貴方は、私のクソ親父じゃないのに、ごめんなさい」
どうしても反射してしまう。
暴力を受ける前に倒すという、私の体にしみ込んだ考えが咄嗟に出てしまった。


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