うるせえ、玉の輿。
車のキーケースを投げ捨てながら、業平がジョージさんに抱きつく。
が、ジョージさんは嫌そうな顔一つせず、笑顔だ。
「大丈夫? ごめんなさいね。麻琴ちゃんって男性恐怖症で」
「麻琴さんからも聞いてますし、事前に虹村社長からも聞いてます。咄嗟だったので、怖がらせてすいません」
「いいのよう。ささ、痛い場所を見せて」
「……」
なんか、温度差が酷い。
業平が好き好きアピールしてるのに、ジョージさんは気づいていて笑顔でスルーなのか気づいてなくて営業スマイルなのか全然分からない。
「あの段ボール、ちょっと角が破れてしまってすいません」
「いいのよ。中のお水には全く関係ないからね。あ、サイン書くわ。丞爾くんは、座って体を休めてて」
「業平、どうせならご飯食べてもらったら?」
もう少し、この二人のやり取りを見てみたい。
「あら、いいの!? ぜひそうしてもらいたいわ」
「でも俺、仕事の車で来ちゃったし。一応虹村さんの家でいつも終わるようにしてるんですが」
「じゃあいいじゃない。何にする? 鰻でも注文する?」
食器棚の端に並べられている、出前のメニューを二人の男が覗き込んでいるってのもなんかちょっとシュールだ。
「いや、ご飯ぐらい私がお詫びで作るよ」