うるせえ、玉の輿。
少し嬉しそうな業平の様子に、仕方なく聞いてみる。
「ねえ、ご飯にする? 私にする?」
すると、業平は微笑む。その微笑み方が、いつもの妖艶な感じではなく男の人の、媚びを売らないセクシーなそれだった。
「もちろん、麻琴だよ」
「え、うわ」
低音の、語尾が甘く伸びた声に耳に砂糖が詰まったよう。
頭を撫でた手が私の髪を、耳にかけた。
「――食べて、いい?」
ぞわぞわと囁かれ、私は手を祈るようにクロスして握りしめると何度もうなずく。
これは仕方ない。食べてください。
「ちょ、なんで受け入れてるのよ。抵抗しなさいよ」
「いや、これは食べられてみようかなと」
「ドキドキした?」
嬉しそうな業平の顔は、すっかりいつものふにゃふにゃした業平だった。
「うん。妊娠した」
「モー! セクハラ!」
バシっと結構いい音で背中を叩かれて、隣に座っていた私はソファから転がり落ちた。
「セクハラ、だああ? 毛をブリーチしているお前さんよりはましじゃよ!」
「きゃーっ」
タンクトップの横から手を入れてやったら、業平の顔が真っ赤になる。
「助けて! だれか、助けて、痴女に貞操を奪われちゃう」
「お前に、貞操なんてない」
「きゃー、だれかあ」
「虹村社長!」