うるせえ、玉の輿。
窓ガラスが散らばるリビングに立つ、ジョージさん。
ジョージさんは私と業平を見て固まっている。
ソファの上に倒れる業平の胸を、私がわしゃわしゃしていたのだから。
「え、えっと……えええ?」
ジョージさんがきょろきょろとあたりを見渡して、首をかしげる。
「あの、虹村社長が叫んで、ものすごい音がしたので、てっきり強盗とか痴漢かと思って」
「それたぶん、私がソファから落ちた時で」
「ぁや、っんんんっ」
「へ?」
驚いた私は、いまだタンクトップに手を入れて、わしゃわしゃしていたのを思い出す。
ソファで男に馬乗りになったまま、タンクトップの中の手をわしゃわしゃ動かす私は、まごうことなき痴女であった。
「麻琴ちゃん、ゆ、指が、こりこり当たってるの」
「ごめ、ごめんね。あ、でもジョージさん、私は痴女じゃなくて、その」
「ちょっと待ってください」
ジョージさんは、どこで買ったのかわからないような『よばい』と書かれたピンクのシャツを脱ぐと、わしゃわしゃされている業平の胸を隠した。
「すいません。プレイだとしても、俺なんかに胸は見られたくないでしょうし、これで隠してください。あと、あの、麻琴さん、嫌がる虹村社長にセクハラは駄目ですよ」
「……あ、はい」
クソ真面目過ぎるジョージさんのおかげで、業平は痴女から助けてもらって目がハートだ。
私は、ジョージさんがトラックを置いて戻ってくるのも待たずに、業平を襲った痴女に見えているに違いない。
が、泣いた赤鬼でも青鬼は最後まで理由を言わなかった。私も青鬼同様、痴女である行為の言い訳しないことにする。
そうすれば、この二人の距離が縮まるのだから。