うるせえ、玉の輿。
「いえ。彼は良い男よ。そして、人を見る目があるわ。麻琴ちゃんなら、私、勝てない。勝てないわ。勝てないのよおおお」
業平が少女漫画のヒロインみたいに立ち上がると、そのままソファに突っ伏して泣きだした。
その姿に、ジョージさんも戸惑っている。
「あのね、ジョージさん。どうせお酒のせいで、今の記憶はなくなるかもしれないけど」
「え、あの、はい」
「私は、この世界で虹村家、主に業平を傷つける人は大嫌い。そして私は業平が幸せにならないのは許せない」
業平の元へ向かいながら、優しいけど泣き上戸の彼に冷たく言う。
「私は、男の人なんて大嫌いだから貴方のことを好きになる可能性はありません。ごめんなさい」
私がジョージさんとなるべく普通に過ごそうとしていたのは、業平の好きな相手だったからだ。
それじゃなかかったら、好きでもない男の人なんて眼中にもなかった。
泣いている業平のそばに行くと、私は後ろから優しく肩に手を置く。
「仕方ねえな。これは実力行使しかない」
「なに?」
「睡眠薬が効いてきて寝たら、襲え」
やっちゃいなって私が目で訴えると、泣いていた業平の目が見開く。
というか、業平は全く涙が出てない。嘘泣きだった。