うるせえ、玉の輿。
業平に会うまでは、私は酔っ払いクソジジイをどう殺すかを考えて生きてきた。
そうしなければ私がいつか死んでしまうからだ。
お化け屋敷と言われた、トタン屋根の古い家。家とも呼ばれない、雨が降れば傘を差さないと濡れてしまう家。夏は暑く、冬は寒く、冷蔵庫は暗く、畳は酔っぱらったクソジジイのせいでところどころ抉れて汚い。
押し入れの上で生活する。給食費を払っていないのに残り物をもらうのは申し訳なくて、給食の一日一食だけが私の生きる術。
あとは幼稚園児の振りして銭湯に行ったりとか、色々、話したら引かれてしまうことばかりして生きてきたからな。
だから、そんな私を人間として扱ってくれて、人間として生きることを教えてくれて、道徳とかマナーとか、礼儀作法とか何一つ知らなかった私に、家族のように教えてくれたのは虹村家の人たちだ。
虹村家は、旧華族の屋敷に住んでいるだけあり、あの地区の土地の所有者でうちの父が勝手に住み着いた家の所有者でもあったらしい。
まあ親父のことや過去は良いことが少なかったので思い出したくない。
問題なのは、私がほかの一般的な人間と良識がずれてしまったことぐらいかな。
でも今はそれも問題ない。