ねえ、理解不能【完】
まったく望んでなかったけれど、帰ろうとしたら妃沙ちゃんと下駄箱のところで会ってしまった。
望んでなかったっていうのは妃沙ちゃんのことが嫌だからとか、そういう意味ではなくて。
もっと単純で、情けない理由。
「妃沙ちゃ~~ん.......!」
どうしても私が妃沙ちゃんに甘えたくなってしまうから。
計算でやっているわけじゃなくて。
妃沙ちゃんは、お姉ちゃんみたいで優しいから、悲しみを癒してもらいたくなっちゃうの。
妃沙ちゃんのアドバイスに逆らったくせに、虫のいい話だけど、妃沙ちゃんだから許してくれるはずだ。
「.......今日ね、千草に帰ろうって誘ったんだけど、断られた」
小声で妃沙ちゃんの耳元に呟く。
本格的に泣きたくなってくる。