ねえ、理解不能【完】







.......だけど、後味がとてつもなく悪かった。


完全な悪役のまま終わるなんて、自分の性にあわなくて。


たった今怒ったまま背を向けたくせに、もう一度、二人の方に向き直る。


少し怯えているような顔をした広野みゆちゃんと、その傍で警戒心たっぷりの目を向けているであろう千草。

二人とも本当に鬱陶しいから、もうすでに傷ついてるプライドよりも、正義感を大切にすることにした。



「ごめんなさい。確かに言いすぎだったから謝るね」




広野みゆちゃんだけに謝る。もうそこからは千草の方は一切見なかった。見てやるもんか、っていう気持ちは、まだほんの少しだけ守りたかったプライドの表れで。


広野みゆちゃんは、戸惑ったように眉をさげて、ふるふると首を横に振った。






「だ、大丈夫だよ。私の方こそごめんね?」




ーーちいくんのことをとって。

そんな言葉が続きそうな広野みゆちゃんの返事に、私は精一杯笑顔をつくる。


それから、また二人に背を向けて歩き出した。




意地でも千草の顔を最後まで見なかったから、やつがどんな顔をしていたのかなんて分からないけれど。

私の微笑みが嘘だらけだったことは、千草にはばればれだったと思う。






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