ねえ、理解不能【完】










学校に着いたら、真っ先に妃沙ちゃんの元へ向かった。

走ってきたせいで汗をかいていて、気持ち悪いけど、そんなことはこの際どうでもいい。





今日は、なんとなく誰にも悲しい気持ちがバレたくなくて、にっこりと笑顔をつくる。


妃沙ちゃんにも弱音を吐きたくない。そういう気分になってしまっている。



「おっはよー!」




本を読んでいた妃沙ちゃんの肩をぽんっと叩いたら、妃沙ちゃんは吃驚した表情を一瞬作ったけれど、そのあと麗しく微笑んだ。



「おはよう、朝から元気だね」



いつも通りの返事。
元気、って思ってもらった。


ほっと胸を撫で下ろす。



妃沙ちゃん相手でも、今はうまく話せる自信はないから。




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