ねえ、理解不能【完】
◇
学校に着いたら、真っ先に妃沙ちゃんの元へ向かった。
走ってきたせいで汗をかいていて、気持ち悪いけど、そんなことはこの際どうでもいい。
今日は、なんとなく誰にも悲しい気持ちがバレたくなくて、にっこりと笑顔をつくる。
妃沙ちゃんにも弱音を吐きたくない。そういう気分になってしまっている。
「おっはよー!」
本を読んでいた妃沙ちゃんの肩をぽんっと叩いたら、妃沙ちゃんは吃驚した表情を一瞬作ったけれど、そのあと麗しく微笑んだ。
「おはよう、朝から元気だね」
いつも通りの返事。
元気、って思ってもらった。
ほっと胸を撫で下ろす。
妃沙ちゃん相手でも、今はうまく話せる自信はないから。