ねえ、理解不能【完】
今日は、私がいつもより遅く学校に来たからか、川瀬君はすぐに教室に現れた。
たくさん相談に乗ってもらって作戦までたててくれたのに、結局だめになってしまったから本当に申し訳ない。
川瀬くんにも、元気なふりで接する。
「川瀬くん、おはようー」
「白崎、はよー」
爽やかにゆるく笑う川瀬君。
どうか見破らないで、と思う。もし私の落ち込みに気づいても、知らないふりをして。
ままならないことばかりの世界で、少しは神様も味方してくれたのか、川瀬くんは、「白崎?」と不審な目を向けたけどすぐに、なんでもない、と言うように首を横に振った。
もう家まで送ってもらわなくていいことを川瀬くんに伝えないと。
どのタイミングで言うのがいいのかしばらく考えた末、放課後に伝えることにした。
いつも通り、妃沙ちゃんと川瀬くんと朝のチャイムがなるまで雑談をする。
少しだけ、ほんの少しだけ、気がまぎれた。