ねえ、理解不能【完】
「俺としてはいつもの白崎に戻ってほしいですねー」
「あと五歩歩いたら、も、戻ります」
「はは、それは楽しみですねー」
変に川瀬くんの私に対しての気持ちを考えるのはやめて、純粋に彼との帰り道を楽しもうと決意する。
まだ、夕焼けは姿を見せていない。
今日は綺麗に染まらないかもしれない。
空一面、灰色に覆われていて、曇り空。
川瀬君は私の横を一定間隔あけて、歩いている。
腕をくっつける悪戯は、川瀬くん相手には絶対にできないし、してみよう、とも思わない。
この違いはなんなんだろう。
気を紛らわすために川瀬くんと帰ってるのに、気が緩むとすぐに比べようとしてしまう。いけない、って自分を戒めていたら、白崎、と川瀬くんに名前を呼ばれた。