ねえ、理解不能【完】
私の家が近づいてくる。
合わさった手のひらの温度とか、見上げるとくしゃりと嬉しそうに笑うゆうの顔とか、そういうものたちのせいで、完全に油断していた。
気がついたのは、千草の家にさしかかる少し前。
視界に入る、ふたりの姿。
息が、とまる。
不意をつかれて、ゆうの手を握る自分の手にぎゅっと力をいれてしまう。
「青?」
ゆうの心配そうな声に、すぐには返事ができなかった。
ゆうのおかげでさっきまで、本当に忘れていたのに。
だけど、見たらやっぱりだめだ、全然考えてしまう。
そうだった。
今まで帰りに遭遇しなかったことが奇跡だったんだ。
あいつは最低野郎だった、たった今思い出したよ。女の子に送ってもらうようなやつだった。ゆうとは大違いな男。